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遺言と家族信託について

2016.03.07

皆さん、こんにちは!主任講師の洲崎です。

最近、少し暖かさを感じるようになりました。早いものでもう3月です。春の訪れといったところでしょうか。3月といえばやはり卒業式シーズン!?です。私は、卒業旅行の楽しい思い出や、懐かしくも切ない仲間との別れ、そして新たな門出の準備をしていたような思い出があります。何かと慌しい季節ですね。

 

当センターでも来月から始まる相続対策セミナーの準備を着々と進めております。

乞うご期待下さい!!

 

 さて、勉強がてら始めた相続ブログも今日で3回目の投稿となりますが、前回までのところで、「遺言」や「成年後見制度」「家族信託」といった事柄について簡単にご紹介させていただきました。家族信託との関係については記載が浅かったので、ここで簡単に補足させていただきたいと思います。

今日は、家族信託と遺言との関係についてみていきましょう。

 

【遺言と家族信託について】

 まず、信託とは、ある人(委託者)が自己が有する一定の財産を信頼できる人(受託者)に託して名義を移転し、この託された人において、その財産を一定の目的に従って管理・運用し、その財産や運用益を特定の人(受益者)に給付したり、あるいは財産そのものを引き渡したりするなど行い、その目的を達成する制度です。家族・親族が受託者となる場合を特に「家族信託」と呼びます。この信託は、自分の生存中から、死亡後に至るまで自分の財産の管理・承継について決めておくことが出来ます。また契約内容はかなり自由に柔軟な設定が出来ます。

例えば、将来、認知症などにかかり正常な判断ができなくなってしまう場合に備えて、自分の財産を信託し、自分を受益者とする信託契約を結んだとしましょう(このような委託者と受益者が同一になる信託を「自益信託」といいます)。そして将来、実際に自分が認知症になったときに、身の回りの世話や介護等にかかる費用に充ててもらうために、信託財産の中から定期的なお金が支給されるような内容の契約にすることができます。

 

 次に、遺言は、遺言者が生前に有していた財産を誰にどのように分配するか等を決定し、その通りに承継させるものです。遺言の種類として民法は普通方式の遺言(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)と、特別方式の遺言(死亡危急者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言)とを認めています(民法第967条以下)。詳細は相続対策セミナーに譲ります。ここでは家族信託との関係で検討したいと思います。

 

 まず、遺言信託というものがあります(信託法第3条2号参照)。これは遺言者の死亡と同時に受託者に遺産の管理を任せるというものです。具体的には遺言で信託財産、信託の目的、受託者、受益者等を定めることで、相続発生と同時に信託を開始させることができます。単に財産の承継先を決めるだけではなく、財産管理の仕組みまで含めて遺言で決めることができます。

この場合、受託者として指定された者に受託者を引き受ける義務はないので、事前に承諾を得ておくのが望ましいと言えます。あくまで遺言書ですので、一般的な遺言の原則に服することになります。効力も遺言者が亡くなった時点で発生するので、遺言者の生前には効力がありません。

家族信託を検討する場合、遺言の効力発生後直ちに信託財産の確保や受益者の支援が必要となります。ところが、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は検認手続きが必要となり(民法第1004条参照)、またしばしば真正に作成されたかについて争われることもありますので、公正証書遺言が最も優れているといえます。

 

 似て非なるものとして遺言代用信託というものがあります(信託法第90条参照)。これは遺言ではなく、信託契約となります。生前から信託契約を締結して、受託者を通じて財産管理を行うと共に、委託者が亡くなった後も、次の受益者を指定して、信託による財産管理を継続するというものです。信託契約と遺言の機能を併せ持つもので、遺言の代わりになる信託(委託者の死亡時に受益者に委託者の財産を相続させ、あるいは遺贈するのと類似の仕組み)という意味で遺言代用信託と呼ばれています。生前の財産管理から利用したい方が活用する制度といえます。遺言ではありませんので、方式不備によって無効となるリスクや遺言信託のような受託者として指定した者による就任拒絶などのリスクも回避することができます。遺言信託と異なり、信託契約締結時に効力が発生しますが、その多くは委託者の死亡を始期とすることになると思います。

また、この遺言代用信託は、いわゆる親亡き後問題配偶者亡き後問題への対応策としての有効利用も可能です。例えば、受益者として未成年者や高齢者、障害者、認知症などにより判断能力が低下し、財産の管理が困難となっている親族等を指定します。そして、その方の生活、療養、介護等のための費用を支出する旨を信託契約の内容とする「福祉型信託」として成年後見制度と併用したり、成年後見制度に代わり利用するといったケースが考えられます(成年後見制度との関係については、次回のブログで記載させていただきます)。

従来は、「負担付遺贈」が主流でしたが、法的な監督者もいないことから、受贈者が負担を履行せずトラブルになったり、贈与財産を浪費するなど実効性に欠ける状況が続いておりました。今後は、このような福祉型信託の利用が増加するものと考えられます。

 

 さらに、後継遺贈と信託との関係も考えておくべきです。

この後継遺贈というのは、遺言の効力が発生した後に受遺者Bが死亡しても、その受遺者の相続人に遺贈の目的物を相続させるのではなく、被相続人Aの指定する者Cに遺贈の目的物を与えるという内容の遺贈です。例えば遺言に「私の土地はBに相続させる。ただし、Bが死亡した場合はBの妻Cに移転するものとする」という内容の遺言です。このような遺言の有効性については議論のあるところではありますが、このような条項は一般的には無効と解されています。つまり、遺言で2人目以降の承継者を決めることはできません。

 ところが、家族信託であれば財産の引継ぎ先を数次にわたり自らの意思で決定できるので、後継遺贈と同様の効果を導くことが可能です。このような信託を受益者連続型信託といいます(信託法第91条参照)。ただし、信託設定から30年を経過した後は、1回しか受益権の承継ができない点に注意して下さい。さらに、信託財産に対しても遺留分減殺請求権は認められていますが、受益者連続型信託の場合、委託者が死亡して、最初の受益者が受益権を取得した段階でのみ遺留分の減殺請求権が認められています。

 

 

ここまででザックリと遺言と家族信託について見てきました。この遺言と家族信託は二者択一的なものではなく、併用することが可能です。例えば、相続財産のうちの現金については家族信託を設定し、土地については遺言で相続人を指定するという利用の仕方も問題ありません。ただし、中には遺言でしかできないこともあります。例えば、未成年者に親権者がいない場合や、親権者が財産管理権を失った場合に未成年後見人を指定したり(民法第839条)、子を認知したりする身分行為は遺言ではできますが(民法第781条第2項)家族信託では行うことができませんので注意が必要です。

 

 

さらに話は変わりますが、政府はすでに有効な遺言による相続を条件に一定額を相続税の基礎控除額「3000万円+法定相続人の数×600万円」に上乗せして控除する遺言控除を新設する方針を固めています。早ければ平成29年度の税制改正での実施を目指しています。その背景には相続時に遺産の取り分などを巡りトラブルが増加しているころから、有効な遺言を残すことで「争族」すなわち相続人間のトラブルを防止する狙いがあります。遺言があれば遺産分割協議が不調でも不動産が処分できることから、近年、問題となっている空き家対策にもなるでしょう。

 

 

以上、簡単にではありますが、家族信託と遺言との関係について記載させていただきました。

一見、様々なバリエーションがあり、難しそうに思えるかもしれません。しかし、「遺言」とは何か?「信託」とは何か?という基本を理解すれば、あとはその組み合わせに過ぎません。細かい枝葉の部分を覚えるのではなく、まずは木の幹の部分をしっかり理解しましょう。

 

次回の相続ブログでは、家族信託と成年後見制度について記載したいと思います。

次回以降もよろしくお願いします☆

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